化学療法(抗がん剤治療)は、副作用を伴う、がんの治療法です。肺がん治療の為にも、化学療法(抗がん剤)基礎知識や副作用について知る事が大切です
飾り

肺がん初期症状肺がん初期症状

化学療法(抗がん剤治療)

がんの化学療法とは、抗がん剤を使ってがん細胞を死滅させようとする治療法

がん細胞は正常の細胞に比べると代謝が活発で異常な速度で増殖します。そのために細胞分裂が盛んで、細胞の核となるDNAが活発に合成されます。そんながん細胞を、抗がん剤を用いて、DNAの合成を阻害たり、DNAそのものを傷害したり細胞の分裂を阻害したりします。
正常な細胞もDNAを合成して少しずつ細胞分裂を行っていますが、その速度は、がん細胞には及びません。しかし、正常な細胞のなかで赤血球や白血球などをつくっている骨髄細胞、毛髪をつくる毛根細胞、消化管粘膜などはかなり新陳代謝が激しく、活発にDNAを合成します。そのため、抗がん剤の作用を受けやすく、化学療法(抗がん剤治療)では血球減少、脱毛、下痢などの副作用が出現します。化学療法(抗がん剤治療)は全身治療ですから、基本的には全身化した病変にも適しています。それに対して手術や放射線療法は局所の治療に適しています。
肺がんは、残念ながら、症状が出にくいなどの理由により、発見時の病気がⅢ期、Ⅳ期と進行した状態で発見される場合が多いため、半分以上は、肺がん手術の対象となっていません。この、手術の対象とならない方へ化学療法、放射線療法、化学放射線療法などが行われています。

抗がん剤

点滴をセットする看護婦
肺がんに使用される抗がん剤には、飲み薬【経口薬】と点滴【注射薬】があります。また、肺がんは、小細胞がん、非小細胞がんで治療法が異なります。また、使用される抗がん剤も異なります。小細胞がんは、病期のⅠ期だけが手術の対象で、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期はまず化学療法を行います。これに対して非小細胞がんでは、はじめの治療として化学療法の対象となるのはⅢ期、Ⅳ期です。抗がん剤治療や放射線治療が有効と判断するのは、治療を行って1ヶ月以上たった時点で、がんが50%以上小さくなった場合に有効と判断しています。
小細胞がんは非小細胞がんと比較して、がんの増殖速度が速く、早期に転移します。しかし、抗がん剤がよく効く場合が多く、抗がん剤治療だけで治ってしまうケースもあります。

小細胞がんと抗がん剤治療

小細胞がんは病期分類のほかに【限局型】と【進展型】という分類が用いられる場合がよくあります。これは小細胞がんでは手術の適応となる場合がほとんどないため、進行度に分けて治療法を変えているからです。左右どちらかの胸の中にがんがとどまっている場合を限局型といい、胸水があるとか遠隔転移を認めるような場合を進展型といいます。限局型の場合には化学療法と放射線療法を併用して行うのが普通です。この放射線療法は、化学療法と同時に行うのが効果的とされています。

肺がんの化学療法の目的

化学療法単独での治療は、手術ができない進行期の肺がんにおいて、延命、さらには症状緩和を目的として行われます。化学療法(抗がん剤治療)を行う時は、治療目的を明確にしたうえで治療を始めることが大切です。化学療法でがんが小さくなれば、寿命が数カ月から半年、さらにはもう少し延びることは十分期待できます。まれなケースではありますが、抗がん剤がよく効いて、5年以上生存できる患者さんもいます。一方、手術や放射線治療などと化学療法を併用する集学的治療では、化学療法を併用しない場合と比較して、治癒する可能性が高まります。

化学療法(抗がん剤)副作用

脱毛、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、疲労感、神経症状、口内炎、皮膚の発疹、
白血球の減少、血小板の減少、腎臓機能障害、肝臓の機能障害、肺炎

自覚症状として現れる副作用

抗がん剤の副作用は自分自身が感じるものと、検査によって分かるものがあります。
抗がん剤治療を受けた方の70~80%に、消化器障害(吐き気、嘔吐など)がみられます。ほかに下痢、便秘、食欲不振、口内炎、関節炎、筋肉痛、しゃっくり、手のしびれ、脱毛もよくみられる症状です。
副作用の出方や程度には個人差があります。吐き気が我慢できない、髪の毛が抜けるのを避けたいなど、患者さんの希望も、抗がん剤を選ぶときの判断材料になります。

検査によってわかる副作用

dreamstimefree_1072796.jpgすべての化学療法に共通して発症するのが骨髄の障害による白血球、赤血球、血小板の一時的な減少です。白血球減少時の感染症や、血小板減少による出血では命にかかわることもあるので、十分注意が必要です。そのために初回の治療では週に12の血液検査を行います。初回の副作用がひどくない場合は、2コース目以降での頻回の血液検査は必要ありません。赤血球が減ると酸素の運搬に支障をきたし、貧血になります。血小板が減ると血が止まりにくくなりますが、どちらも輸血によってコントロールが可能です。白血球減少によって抵抗力が落ち、感染症をおこすことが、いちばん心配される副作用です。療関連死の原因でもっとも多いのは、白血球、好中の減少による重篤な肺炎や敗血症などの感染症によるものです。ほかには心不全、不整脈、問質性肺炎などの心肺毒性が、時に出現するため注意が必要です。また、腎障害、肝障害がおこる場合もあります。自律神経障害、感覚障害、聴力障害もおこる可能性があります。化学療法の副作用は多様です、そのため、投与量のコントロールや副作用への対策は大変重要です。化学療法を受けている時は、気になる症状があれば、担当医師、看護師に遠慮なく申し出て、早めに対応することが大切です。

副作用対策

抗がん剤の副作用である吐き気や嘔吐に対しては、【セロトニン受容体浩抗剤】という吐き気止めの薬が用いられます。脱毛は特に女性の患者さんにとっては大変気になる副作用です。脱毛に関しては、頭部を冷やすことで血流を減らして、毛髪部分への抗がん剤の到達する量を減らす方法がありますが、あまり効果的ではなく、また実用的でもありません。脱毛を防ぐ有効な治療がないため、カツラを用意してもらうなどしています。しかし、いずれ髪の毛は生えてくるので、一時的なことと我慢して生えてくるまで待つしかありません。抗がん剤の副作用により肺炎、特に間質性肺炎という強い呼吸困難を伴う重大な合併症を起こし、生命にかかわることもあります。ただ、ほとんどの副作用は二時的なものです。時間がたてば必ずもとにもどると思って、深刻にならずに過ごすことが大切です。